第1章 Sunflower【澤村大地】
「みなみはさ、そうやって笑ってる方がずっと素敵だよ」
「ん…ありがと」
それから潔子は夜空を見上げて、
大きく深呼吸をした。
「あーあ、菅原に告白してもきっと振られちゃうんだろうな」
「そんな、まだ分かんないじゃない…!」
「そうだけど…。でも、きっとダメだって分かってる」
潔子は空に向けた視線を私に移した。
「みなみこそ。私にはそうやって言うくせに、意外と慎重派だよね」
「………そうだね。大地なら、私みたいに逃げずにちゃんと向き合ってくれると思う」
「うん」
「潔子、ありがと。…まだ、伝えられるかはわかんないけど…頑張ってみる」
「…うん。応援してる」
「それから、」と潔子が付け足す。
「みなみは澤村に夢中になりすぎて、周りが見えない時があるから、ちゃんと他にも目を向けること」
「え…どういうこと?」
「さあ?」
そう言って潔子はニヤリと笑みを浮かべた。
潔子が一番男らしいかも…なんて思いながら、私達はまた並んで歩きだした。
雨上がりのしんとした夜。
空には静かに輝く白い星。
点々と続く街灯の明かりと、
濡れた草の匂い。
この気持ちの行き先なんて分からない。
でも、ただ知ってほしい。
私があなたを好きだってこと。
逃げずに、まっすぐ前を見て。
大地。私ずっと前から、大地のことが好き。
fin