Everlasting Lovers *ディアラバ*
第3章 白薔薇
街を歩くと、羨望の眼差しを一身に浴びた。
夜会に出れば、もてはやされた。
求婚は絶えず、女友達の憧れの的だった。
誰もが 私を幸せだと信じて 疑わなかった。
高貴な家柄と容姿から 世間は 私を白薔薇と呼ぶようになった。でも、いつも周りが手助けをしてくれ、甘やかされ育った私は今も昔も 自己主張が苦手な気弱な女の子だった。
「 … ふー。」
周りから好かれるのは、素直に嬉しい。でも、
「クリスタ様〜 どちらへ行かれましたか〜〜?」
「 おっおまえ 抜け殻してるんじゃないぞ! 私が先にクリスタ様と話すんだっ」
「なっふざけるな!俺が先だっ」
ここまで 追いかけられると… さすがに疲れる。
どうやって 逃げよう? 花壇に身を潜め、考えると後ろから声がした。
「 クリスタ、何してるんだ?こんな所で。」
「 カールハインツ様⁈」
私の従兄弟で 吸血鬼の長である彼が しゃがみこんでいる私に 手を差し伸べた。
「 もう 19になる女性が こんな所でしゃがみこむんじゃない。」
「 っ でも…」
今、立ち上がると また 追いかけられるだろう、、
「 あれか。 おまえが こんな所でうずくまる原因は。」
私を追いかけてる 男子の集団を一瞥し、彼は言った。
「 はい…」
呆れたようにため息をつくと、彼は私の腕を引っ張り
「堂々としてればいいんだ。あんなの無視して。」
「でっでもっ」
「掴まってろ。俺がいる。」
そう言うと、私と腕をくみ 人混みの中へ踏み出した。
「 あっクリスタ様!」
先ほどの男の子達が近寄ってきたが、
「 邪魔だ。退け。」
彼は 低い声で そう言い捨てる。
騒がしかった人混みが 水を打ったように静まり返った。
「 ありがとうございました。おかげで助かりました。」
私達は人混みを抜け、裏通りの静かなカフェに入り ひと段落することにした。
「 相変わらずだな。おまえは。あんなの嫌ならはっきり言えばいいんだ。」
優雅にコーヒーを飲む姿に思わず見惚れる。
「… すみません。」
思わず しゅんとなる私に 彼は目を細める。
「 おまえは優しすぎるんだ。」
苦笑いを浮かべながら 彼は言った。