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Fate/IF

第12章 Fate/Zero...? 大切だからこそ


 士郎が預けられているのは、以前、私も暮らしていた養護施設。勝手がわかる分、忍びこむことは簡単だった。
 シロウの姿は目立つ上に相手を警戒させかねないので、ここでは霊体化してもらい、私は施設にいる一人一人に声をかけ、暗示をかけていく。小規模な養護施設だったおかげで、暗示は、すぐにかけ終わった。
 ――会いたくなくて、それでも、会いたかった、私のただ一人の幼馴染みを除いて。

「……■、それに、アーチャー……」

 月明かりの差しこむ施設の一室で、対面した士郎は、“昔”と、なんら変わりないように見えた。霊体化を解いたシロウと、私の姿を見つめて、士郎が、その場に立ち尽くしている。

 ――彼は今、何を思っているだろう。何を、感じているだろう。
 そう考えるだけで足は竦んだけれど、私は自分自身を叱咤して、一歩、足を踏み出す。

 もしかしたら、やっと、本当の両親と平穏に暮らせるかもしれなかったのに、私が「目覚めた」ことで、彼の両親に「過去の未来」という“記憶”が返還されてしまった。そのせいで、彼の両親は気が狂ってしまった――
 シロウはああ言ってくれたけれど、恨まれても、しかたがないと思っていた。前みたいに、もう笑いかけてくれないかもしれないと、そう思っていた。だけど、
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