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アイサレテル [R18]

第2章 期待






書庫を後にした僕たちは

次に中庭へ向かった。





「ここは庭中、薔薇だらけでね。珍しい種類のものもたくさんあるんだ」





日中の庭は本当に美しかった。



これも薔薇なのかと思うような見たことのない、色や大きさの物もあり



また、上品な香りが心地よくて


何度も深く吸い込んだ。






「向こうには垣根で出来た迷路があってね。昔ルークとよくかくれんぼして遊んだよ」







フェイ君に続いて歩く。





迷路の反対側に林があり、
その向こうに温室があるんだと言う。



そこも花だらけらしく

ぽかぽかと心地がいいから昼寝にはもってこいの場所で、もしかしたらルーク君がいるかもしれないと探しにいくことにした。








やがて、こじんまりとした温室につく。




外から中が見えないほど草の蔦が絡み付いていて、随分と年季が入っていた。








「ルーク……いるかい?」







ギィィ







錆び付いたガラスの扉を開くと













ルーク君ではなく、あの少女がいた。








「あ、君!またこんなところで…」








言いかけたとき、








「何してるの」









ふわっと振り返った彼女に


今までとは全然違う



冷たく低い声でフェイ君が問いかけた。






「なんでここにいるの?」





優しかった眼差しが一変し

まるでゴミでも見るような

鋭く刺す目付きへと変わる。




訳がわからなくて二人の顔を交互に見比べた。






「そうだった。君喋れないんだっけ……汚らわしい。」




「今すぐここから出ていってくれないかな」







刺々しい言葉を彼女は無表情で受け止める。




そして言われた通り、無言で僕たちの横を通り抜けて温室から出ていってしまった。





遠く消えて見えなくなるまで、フェイ君のそのおぞましい目付きは続いた。















「……フェイ君?」








しばらくして、パッといつもの優しい顔に戻る。




「ごめんね。随分汚いものを見せちゃった」






(汚いって……)






「…あの子、知ってるの?」





「今の?、アナリアのことかい?」


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