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【おそ松さん】哀色ハルジオン

第12章 羨望





……私は、イッチーのことが好き。


否定しなきゃいけないはずなのに、カーくんの言葉が胸にストンと落ちる。


もしかして、とは思っていたけれど、はっきりと結論づけるのを恐れていた。


だって、私にはおそ松くんがいるから。他の誰かを好きになるわけにはいかない。


納得しちゃだめなのに…認めたくないのに…


私…彼に恋してるってこと…?だからこんなにも気になっちゃうの?


彼のことばかり考えては、一喜一憂して…彼に会えない寂しさに、不安を募らせて。おそ松くんと一緒にいても、以前のような幸せを感じられなくなってしまった。


本当に、私…それくらい、彼のことが…


一松くんのことが、好きなんだ…。


「……図星、なんだな」


「……」


こんな気持ち…本当は抱いちゃいけないのに。おそ松くんを裏切っているのと同じだ。ううん、おそ松くんだけじゃない。私たちの仲を応援してくれている、6つ子のみんなも。


答えることができない。自覚した今だからこそ、簡単には首を縦に振れなかった。


「不躾だったのは謝る。それにさっきも言ったが、俺は君を責める気はないんだ。黙っておいてほしいなら誰にも言う気はないし、秘密は守る。…信じてくれないか?」


いつになく真剣な眼差しの彼を見て、心臓がドキリと音を立てる。カーくんのこういうところは、本当にかっこいいな…


「…どうして、そんなに親身になってくれるの?」


「はは、さっきからお互い質問ばかりだな」


「だ、だって…」


「答えは単純さ。兄弟も、そして友人の君も、俺にとってはかけがえのない存在だからだ。どうせ仲を取り持つのなら、両方が幸せになる道を模索するのが俺の信条なんだよ」


そう言って、彼は笑う。爽やかで、屈託のない笑顔。


…こんなに優しくて兄弟思いの彼に、私の煮え切らないもやもやとした感情をぶつけてしまってもいいのだろうか。


悩んでいると、彼はまた私の頭を軽く撫でる。まるで、「我慢しなくていい」と伝えるように。


「…っ…!」


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