第1章 天才。
学校までは約10分くらいだって聞いていた。
「確かに10分くらいで着くけど何この最後の坂ー!!!!!!」
学校はすぐそこに見えているのに急な斜面の坂を目の前に気が遠くなった。
こんなところを365日×3年間。ほぼ毎日歩くの?
「おい!そこの女生徒!うるせぇ!!!俺の店の前ではもっと静かに歩け!!」
「はっ、はい!すいません!!!」
坂の終わりにある小さな店《坂ノ下商店》。
そこの店主さん(?)にものすごく怒鳴られてしまった。
あの人絶対元ヤンキーだよ…怖い…。
入学早々なんかついてないなぁ。
「今日こそこの坂を30秒以内に駆け上ってやるぜ!!!」
後ろから元気で明るい感じの声が聞こえた。
そこには髪の毛を上向きに立てたあたしより少し大きいくらいの男子生徒が立っていた。