第1章 天才。
中2にして142cmとかなりの低身長。
けど跳ぶと2mを難なく越えてしまうジャンプ力とサーブの強力さ、レシーブの正確さ。
バレーボールをする上でここまでの天才は初めてだと小学校の頃から言われてきた。
中学は関西一の強豪校へ推薦で行って、楽しいバレーボール生活を送っていた。
…けど、中2の全国大会。23vs24。準々決勝のマッチポイントであたしに上がったトスを。…あたしは打てなかった。
小3からバカみたいに飛び回っていたあたしの膝は限界を超えていて、その時にはもう跳べなくなっていた。
あたしのせいでその試合で負け、全国大会はそこで終わってしまった。
その後の中学生活はもう苦でしかなかった。
もう跳べない膝ではバレー部を引退せざるを得なく、『天才』の称号はあたしから消えていった。