第4章 猫王子と球技大会
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『あたしもバレーやりたかった…』
奈央「自分が所属してる競技には出れへんってあれほど言われたやんか」
『そうだけどさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
奈央「うっとおしいわ!どんだけ息続くねん!ウチも苦手やのにバスケ選んでやったんやけん、ちょっとは喜びぃや!」
『…それなんだけどさぁ、何でマネージャーなのにバスケ苦手なわけ?』
奈央「何でキレてんねん!ええやろ、人の勝手や!ほら、始めるで!」
あ、これは何かあるなぁ。ま、いいけど。奈央が話したくないって言うなら、あたしは無理に聞かない。
『バスケって以外と難しいね』
奈央「せやろ!?それなのに皆凄いねん!特に…って何言おうとしてるんやウチは!今の忘れてな!?」
『おっ、おうともよ…』
奈央の気迫に圧倒されるも、何とか乗り切った。ふとバレーチームを見る。いいなー、楽しそう。キャッキャウフフで円になってボールを繋ぐ男女…青春ですなぁ。
だけど1人だけ輪に入らず、青春を謳歌せずに腕を組みながらじっとその様子を見ている人がいた。赤司だ。ぷぷっ、すました顔して何考えてるんだか。バスケットボールを赤司に向かって投げると、こちらを見ずにキャッチした。何あれ凄い。
「飼い主にこんな事してタダですむと思っているのかい?」
『誰がいつ飼い主になったよ!!!王子は飼い主じゃなくてただの王家の人だろ!!!じゃなくてさ、何でバレーやらないの?ナメてんのかコラ』
「そういう訳ではない。ただ…僕はバレーというものをやった事がないんだ」
『…まじでか?』
「まじでだ」
『え?体育とかで絶対やるはずなんだけど?』
「他の生徒はやっていた。僕は見ていたからな」
いや赤司…そんなドヤ顔されても困るんだけど。てか見るだけで単位くれんの!?くれないよね!!!ハッ…まさか…
「少し脅せば簡単に単位は獲得できた。もちろん5でな」
『アウトぉぉぉぉぉぉ!こいつアウトぉぉぉムガッ!』
「静かにしろ、留年したいのか?」
赤司の手によって口元を抑えられたと思えば、耳元で脅されたので全力で首を振る。ヤダ、赤司怖い。
「よし、それでこそ忠犬だ」
赤司に頭を撫でられる。すると体育館のどこかからキャーという叫び声が聞こえた。虫でもいたのかな。