第8章 君を待つ雨の午後<伊達政宗>
いつもそう。
私の心をかき乱して、
嵐のように訪れては、
何の名残もなく去っていく。
私がどれだけあなたを
心の底から愛しているか、
知らないでしょう。
私があなたのところまで逢いに行くのは許してくれないくせに、あなたは気まぐれに私の所へやってくる。
「桜」
そう言って名前を呼んで、笑顔を向けて、触れて。その度に、私の心はどうしようもなく騒ぎ出すの。
隠しきれない恋心は、きっとあなたに届くことはない。そう思ってた。
「また来る」
そう言っていたけど、今日は雨ね。
こんな煩わしい天気の中、あなたはわざわざ私の所へ来るかしら。
もしあなたが、来てくれたら。
この想いを伝えよう。
もしあなたが、来てくれなかったら。
きっともうあなたに逢うことはない。