第3章 冷えた肌に温もりを<豊臣秀吉>
「何もしないって、言ったのに…」
恥ずかしそうに俯く桜が愛おしくて愛おしくて、さらに欲が出てしまう。
もう少し深く、甘く。
「っ…ん…」
とろんとした目に、そのまま押し倒してしまいそうになるのを何とかこらえていると、部屋へ近づいてくる足音がして、外から女中が風呂の支度が出来たことを告げた。
「ありがとうございます……わっ」
女中にお礼の言葉をかける桜を、横抱きにして立ち上がる。
「ちょ、ちょっと…」
「このまま風呂に連れて行ってやる。…一緒に入るか?」
「なっ…」
意地悪く笑ってやれば、真っ赤になって睨んでくるけれど、そんなものは通じない。
愛しさが増すだけだ。
「そういえば…お前、俺に小言言われるだろうと思って、こっそり帰ってきたな?」
「そんなこと…ないです…」
風呂に向かいながら腕の中の桜を見れば、図星とばかりの焦り顔。
大仰にため息をついて見せて、
「こりゃー、お仕置だな」
呟けば、恐る恐る問い返す声。
「お、おしおき…?」
あえて聞こえないふりをして、そのまま風呂場へと向かったのだった。
その冷えた肌に温もりを。
お仕置は、甘いひととき。
終