第4章 教えてあげる<大久保利通>
大久保はの腰に手を回し、抱き寄せてスカートに触れる。
「のこの姿は、俺だけのものにしたい」
「…はい」
大久保の独占欲丸出しの言葉が、の胸の内をくすぐったい気持ちにさせる。けれど、自分の事をそれだけ愛してくれていると思うと、とても嬉しくて。
「だからこれは、俺と二人きりの時にだけ着て」
「それも、願いですか?」
「…そう」
悪戯っぽく笑う大久保にどきり、とする。これ以上は心臓がもたない。慌てて話題をそらす。
「今日はこれから、どうしますか?」
「考えてたけど、悩んでる」
大久保が腕の中のを見下ろしながら、首をひねる。
「ここへ来る前は、これを着てどこかへ出かけようと思っていたけど…」
ちゅ、との頬に口づけて、大久保が目を細める。
「しばらくこのままでも、いいかも」
「それもいいですね」
じゃれるような口づけを繰り返す大久保に、くすくすと笑いながらも答える。
「大久保さん、もう一度、言わせてください」
「なに?」
「お誕生日、おめでとうございます」
「うん…ありがとう」
大久保の熱い口づけが、再び二人に火を灯す。幸せな一日は、甘く熱く、過ぎて行った。
終