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【イケメン幕末】春を呼ぶ嵐のように(R18)

第1章 名前を呼んで


「こんにちは、お届けに来ました。」

は、恒例となった出前を手に、
新選組の屯所を訪れていた。
いつも近藤がいる奥の部屋に声をかけ、
返事を確認してから開ける。


近藤「おう、桜。悪いなぁいつも。」

「いいえ、仕事ですし、楽しいですよ?」


立ち上がった近藤が、
を招き入れながら後ろ手に襖を閉めた。
いつもなら開けたまま少しお話しして、すぐに帰るのに。
は内心首を傾げつつ、持ってきた風呂敷を解いていく。


「これで、全部です。」

近藤「ありがとう、また頼む。」

「はい。じゃあ、私はこれで…。」


失礼します、と言いながら襖を開けようと立ち上がると、
傍まで来ていた近藤が、の右手を優しく掴んだ。
はっとして顔を上げたの顔を、
そのままじっと見つめてくるから、
は速くなる鼓動に耐え切れず口を開く。


「あの…近藤、さん…?」

近藤「…俺と」


その瞬間、が背にしていた襖が
轟音を立てて開かれた。
びくっとして振り向くと、
そこには土方が立っている。


土方「…何してんだ、近藤さん。」


不機嫌な顔を隠そうともせずに近藤に詰め寄ると、
土方は、の手をもぎ取るように近藤から離した。

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