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【イケメン幕末】春を呼ぶ嵐のように(R18)

第3章 名前を呼んで(沖田END)


「近藤さんと土方さんは、今夜から何日か会合が続くんじゃありませんでしたか?」

沖田が思いついたように言って、二人を見た。沖田の言わんとしている事が分かる二人は、悔しくもただ頷くしかない。

「山崎は…まあ、どうでもいいか」

「…え」

隣で異議を唱えるような声を上げる山崎を華麗に無視して、

「夕方、迎えに行きます。…いいですか?さん」

「はい、分かりました。準備って、何かありますか?」

「いえ、特には。…あぁ、でも一応、好きな男との逢引に見えるような恰好でお願いしますね。まあ、いつもさんは、可愛いですけど」

「は、はぁ…」

からかうようにいう沖田の言葉を最後に、は一旦四季へと戻った。



夕方。少しだけ早めに店を閉めて、ユキが持たせてくれた着物の中で、余所行き用にしている物に袖を通す。
薄く紅を引いてみたりもしていると、本当に逢引前のようで、そわそわした気持ちになってくる。
支度が済んで、店の椅子に腰かけた所で、ガラリと入口が開いて、沖田が顔を覗かせた。

「お待たせしました、さん」

「はい」

沖田の傍へと小走りに駆けよれば、じっとのことを見つめてくる。

「な、何でしょう」

「いえ…可愛いなと思って。よく似合いますよ、その着物」

「あ…りがとうございます」

笑みを浮かべて、さらりと口にするほめ言葉が本気なのかは分からないけれど、褒めてもらったことは素直に嬉しくて、小さく礼を言う。
そんなの手を取ると、

「今日は、恋人同士ですからね」

そう言ってまた、笑った。
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