第1章 人間
ぼーっと自分の部屋のベットでタバコをふかしていると、いつも昔の事を思い出す。
今の俺を構築したあの頃の事を。
別に憎んじゃいない。
あの頃に戻って俺にしっかりしろと言いたいわけでもない。
俺は今を受け入れてるから、後悔もないわけだ。
もしかしたら、俺には欲がないんじゃないか?…とも思うが、どちらにしてもいらないなら、いらないでいいと思う。
どうして生きているんだろう、そう思ったりもするが、それは漠然とし過ぎていて考えるのが面倒だからしていない。
だからこの時間は俺にとっての、空っぽの時間。
仕事終わりの一服で、考えはするが何も決めない
「…………」
無言で天井にタバコの煙を吐く。
そう言えば、しばらく自分の声なんて聞いていないな……いや、しばらくなんてものじゃないかもしれない。
もう何年も出していない……そんな気がする。
声を出そうかと口を開けてみたが、特に喋ることもなくそのままタバコを咥えて……煙を吸った。