第4章 欲望
人間は欲望し、欲求し、それを手に入れて満たされていく動物だと思う。
人間には手段があって、方法を考える力があって、想像する能力があるからだ。
だが俺は、そうはなりたくないと思った。
欲望のままに生きて、手に入れてもすぐに無くして生き、それでも求め続けるなんてそんな悲しい人生は嫌だと思うからだ。
そんな思いをするなら、もういっそ欲しいなんて思わなかったら悲しい思いはしないで済むんじゃないかって思う。
けど俺はついさっき、自分の危機的状況で思ってしまった。
助けて欲しい。
側にいて欲しい。……と。
自分以外の誰かを欲しいって思った。そして現れた誰か 【佐々木】に酷く安堵してしまった。
つまりは、心を満たしてしまったんだ。
そう……理由はともあれ欲望して欲求して、与えられたんだ。
その快感、安堵、底知れないそんな気持ちが溢れて俺を浸した。
今だから思う。
もう戻れなくなるって。
もう、1人の時には戻れない。