第3章 自分
「…ン……ッ……」
魘されているのか、顔を少し火照らせながら眉間にシワを寄せている浬…。
俺は氷水にタオルを浸して、水を絞りそれで浬の額の汗や汚れを落としていく。
恐らく限界を超えたのだろう、吐瀉物のあとも残っていて、それも綺麗にする。
「……っ……遅くなって、ごめんな……」
寝ている浬に言うのは卑怯かもしれないが、言わないと気がすまなかった。
しかし浬の身体を綺麗にしていくうちに、首筋の方に赤い跡がいくつかあるのを見つけ、一気に頭に血が登った。
「っ…!!!」
どうしようもない嫉妬で頭がいっぱいで、気付けば浬をうつ伏せにして俺はその上に跨っていた。
そして吸い取られるように、首筋の赤い跡に口を付けた。
ーチュッ……チュゥ…
「…ふっ……ん、ぅ……」
2人きりの部屋に響く濡れた音、それと共に小さく微かに聞こえる浬の色付いた声。
僅かに身をよじる浬だったが、目が覚める様子はなく、更にあげる色付いた声に俺の理性の糸が焼き切れそうになる。
ーチュッ……ッパ……
「っ……ふぅー……」
なんとか理性が残り、名残惜しいように顔を離して浬から退いた。
……危ねぇ……これじゃさっきの男とまるで一緒じゃねぇか…
そう悪態つきながら浬に毛布をかけて、見ないように顔を手で覆い椅子に座った。
自分に対して嫌悪感を抱きながらも、これじゃ磯田のやつに蹴り殺されるな…と反省し始めた。
佐々木 sideOFF