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第24章 繋がること


「ああもう、またすぐ俺のことばっかり考える…」

手を止めて私の方へ体を向け、両手を私の頬に添えて困ったように笑う。

『…ダメ?』

「…考えすぎてお前が責任感じるのはダメだ。お前は俺に勝手に攫われていっただけなんだから」

『こんなに幸せにしてもらってるのにそんな言い方…今、更……無理、あります…って…』

「お前が俺のこと幸せにしてくれっからお返ししてるだけだろが…あーほら、俺のこと過大評価しまくって泣くなって!?…まぁた泣き虫んなった」

よしよし、落ち着けーなんて声ではてきとうそうなのに、頭と背中を落ち着かせるように撫でられる。
そこからいかに大事に思われてるかがひしひしと伝わってくる。

中也は、肉親と共にいられなくなってポートマフィアに…正確に言えば紅葉さんの元に、預かられることになったと聞いた。
しかし、それは彼が十四才の頃…つまりそれは、私を連れ去ったその年のこと。

それも、私が名前を付けられたのが九月の末。
彼の誕生日は四月の末。

一年も経つことなく、彼は親になってしまった。

紅葉さんの元にいたのなら、あの人のことだ…愛情込めて育てられ続けていたに違いない。
しかしどうだ、彼は私を攫ったのだと言い聞かせ続けるが…

どうして、実験施設にまで乗り込んできた?
それは彼が私のことを調べたから…私が置かれている状況までもを、知っていたから。

彼は私を一目見て、心を奪われたと言っていた。
いつの時代のことだか分からずに困惑しているようではあるが、それでも、そのような相手があの状況下に置かれていて、人間が思うことなど単純なこと。

可哀想だと哀れむか、そこから恐れをなして忘れようとするか…何とかして助け出してやりたいと考えるか。

彼は恐らく…いや、間違いなく後者の考えを持ったのだ。

だからわざわざ連れ出しに来た…あの研究所は、どこにも公開などされていなかったはずなのに。
私がいるのが水槽の中だなんてこと、研究の事を知らなかったら考えもしないはずなのに。

『中、也…さんにも…っ、普通の、生活…あげたいの…ッ』

私にばっかりしてくれるのに。
あなたはこんなにも、報われていいはずの人なのに。

私と同じように、普通の身体を…普通の家族を欲しがっていた人なのに。

「……蝶からいっぱい貰ってるさ」

だからあなたは、優しすぎるのに。
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