第18章 縁の時間

まあ、しかしこいつがこの状態でキスをし始めれば終わるのがいつになるやら分からねぇ。
壁を張らせたのも俺の策略が理由である。

「…こっち来い」

『ひゃっ…ｯ、？ち、ちゅう…や……っぁ…♡』

自分の元へ少女を引き寄せ、俺にもたれさせるように腕に抱いてから少女の頬に片手を添える。
それからやわやわと耳や首元を撫でながら、気分の高まりつつある蝶の頭をもう片方の手で撫でてやる。

全く、すぐにその気になる……すぐにその気にならせちまう。

「ほら、してみろよ…してくれんじゃなかったのか？キス」

耳元で声を低くして囁くと、ﾌﾞﾜｱっと顔を真っ赤にさせる蝶。

『し、しま…ｯん…♡し、たい…のにｯ…い、じわるしな…っぁあｯ……♡』

ﾁｭｳ､と耳を吸ってからまた耳の中を舌で撫でる。
ﾋﾟｸﾋﾟｸ反応するのがまた愛らしい。

「意地悪じゃねえよ、可愛がってんの……っ、ほら。するんじゃねえの？」

『ひぁう!!!?♡あぁぁ…ｯ、あぅ……♡』

耳から唾液を溢れさせたままﾇﾙﾘと舌を撫で付けるように引き抜くと、蝶はまた大きく鳴いて息を荒くする。

「下向いてどうすんだよ、こっち見ろ…折角可愛い顔してんのに」

『〜〜〜！！？…な…っ…あう…ｯ』

「……ちゃんと目ぇ見ながらキスしなかったらすぐにやめさせるからな？」

チラチラと俺の顔色を窺うようにこちらを見る少女。
それから素直なこいつはｺｸﾝ、と小さく頷いて、俺をゆっくりと押し倒して顔を近付けてくるのだ。

目を開いたままさせるというのは初めてなのだが、思った以上に効果はあるらしく、既にｶﾞｸｶﾞｸと身体が震え始めている。

『ぁ、の……あんまりこっち見ちゃ、やだ…です』

「だめ、俺が可愛い蝶を見んのが好きなの知ってんだろ」

だからっ……と反論しかけるものの、その先はもう言葉にもなっていない。

それから俺と目を合わせて、少しまた目を潤ませてから、細くなってしまいながらもなんとか柔らかな口付けを俺に落とした。
一回と言ったからか、暫くの間そうしてからゆっくりと口裏を離そうとする蝶。

『ン……ｯ…………!!!?』

しかしそれは俺の手によって阻まれる。
蝶の後頭部と背中に手を回して、そのまま耳元まで口を寄せ、さわさわと項を指で撫でる。

『や、っ…首ｯ、や……ぁっ♡約束と違＿＿＿』

「＿＿＿＿犯されてる気分になった？」