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第18章 縁の時間


「それは……成程、そういう事…」

「……同じ女の手前からしてみても結構な話だろ、普通。その上この純粋野郎はそれがどういう行為なのかを俺と出会ってこういう関係になるまで知らなかったらしい」

「知らなかったって…はあ!?えっ、ちょっと待ちなさいよ!それだけ生きてて知らないって…」

「だから余計にそういうところに責任感じやすいみてえでな。それでこの見た目とこの性格だ、よっぽど趣味の悪ぃ男でもねえ限り目に止まる…それで今回みたいな事にも繋がっちまう」

実の兄からそういう教育を受けていた…なんて経験はそんなにこの世の中多くは無い。
このイリーナでさえもだ。

いくら望んでそうなっていないにしても、その行為の意味すら知らずに従順に従うしかなかったのだ。
そういう方法でしか、人から愛される方法を知らなかったのだ。

そんな少女が行為の意味を知ってしまった時に…それを俺に告白する時に、どれほど胸を引き裂かれるような思いであったことか。
そしてなにより、そうまでして自分が得ていたものが愛などでは無かったのだと、きっと頭の良いこの少女なら分かっていた。

それがどれだけ、自分を苦しめていることか。

どれだけ、他人にそういう目で見られることの恐ろしさを痛感したことか。

「まあ、今日も横浜で危なかったからな。酒まで飲まされてたみてえだし、本人としてはかなり嫌な触れられ方もしていたらしい」

「………あんたが気にしてなくても、この子はそうとう純情な部分が大きいし…何よりあんたの事しか考えないような子だもの。……よく気付いたわね、怖がってた事…流石だわ」

「こいつが口にしてくれて初めて分かったんだよ、まだまだだ俺は」

「…前々から妙だとは思ってたのよ。いくら女がそういう触れられ方をされたからって、蝶程の実力のある子がそこらの高校生や一般人の男なんかになんでいいようにされちゃうのかって……そういう事、だったのね」

サラリと髪をとくように撫でるとまた蝶の表情が柔らかくなったような気がした。

「って、こういう関係になって知ったとか…あんた達って今どこまで進んでんのよ?」

「ぶっっ…!!!」

「え、何?蝶だって大人の女なんだから…勿論我慢させてないわよね?相手はこの年だけど子供じゃないのよ」

「させてねえよこの痴女が!!…ッて、仮にも中学校の校舎で何言わせやがる!!!!?」
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