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第12章 夏の思い出


「まさかの同数…嘘だろ、お前金魚すくいまで得意とか聞いてねえぞ。実はこそこそ練習してやがっただろ」

『初めてですよ。やってみたら案外いけました』

「「「あの二人磯貝より取ってるくせして何言ってんだ」」」

皆の呟きを聞いていると、何やら磯貝君は屋台で金魚を大量に集めて、金魚料理で数日まかなおうという算段らしい。
というわけで、特に金魚を飼いたいわけでもなかったため、中也さんのと合わせて二百数十匹程を磯貝君に献上した。

物凄く喜ばれた。

「んじゃ次はあれな、くじ引き」

『くじ引きでどうやって勝負するんです?』

「良いやつ引いた方が勝ち」

『シンプルでいいですね、乗りました』

当たりがちゃんと入っていそうなところに目星をつけて、いざ勝負。

勝負は一瞬で決まった。

『……なんで一等とか当ててんのこの人怖い』

「これが実力の差ってやつだよ…ゲーム機とかいるか?お前」

いらない、それ多分この前買ったと言えば、そうだよなと中也さん。

「んじゃこれカルマにやるか、なんだかんだ世話んなってるし」

『それなら納得。後であげよ、カルマ君ゲーム大好きだから多分喜ぶよ』

因みに私が当てたのは二等の携帯ゲーム機だった。
こっちは持ってなかった物だったから、運に感謝していただくことにした。

「んで蝶さん、お次はどうするよ?得意なやつでもいいぜ?相手してやる」

『!言いましたね?』

中也さんの発言にニヤリとして、三戦目開始。
すると周りにはとんでもない数のギャラリーが集まる事となっていた。

「………すんません、射的は予想してなかったです」

『ふふっ、はい中也さん♪宣言通り、いっぱいプレゼントとりましたよ♡』

満面の笑みで最早袋に入れられた大量の景品を中也さんに見せる。

中也さんは堅実に、慣れてはいなかっただろうに一番大きな景品を取ってどうだと笑顔になっていた。

流石にそれを取られては芸がなければいけないなと思い……少し本気を出した結果がこれだ。

「射撃は…大人気ねえっすよ…」

一つのコルク弾をどう飛ばすか計算した結果。

「弾き返し続けて景品全部取るとか何なんだよお前ぇ…っ、立原に稽古つける時より本気だったろ…!!」

『愛の力ですかね、中也さんへの』

「「「「「おい、あそこのカップルやべぇぞなんか」」」」」
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