第2章 ヒロイン
夏合宿で出会ったあの子。
技術を奪おうと躍起になる烏野で、一人浮いていた。クールで冷静沈着で、でも負けず嫌いなあの子を気になったのは、自然の摂理だったのかもしれない。
そんな夏合宿から半年ほど過ぎた。
きっとあの子は、俺の事を好きじゃないんだろうな、いやそもそも記憶に残ってるかすら怪しい…。ブロックを教えたこっちとしては記憶に残ってほしいのだけど…。まあ、クールで嫌味なあの子のことだ、別に気にすることじゃない。
「はあ…」と、雪のチラつき始めた東京で、俺の吐き出したため息は白くなって辺りに溶け込む。