第6章 オレンジ
宮城の田舎街の高校の特別強くもないバレー部で僕らは出会った。
「本気になるのは嫌いだ」と偽って、汗水垂らして、ボールを繋いで、所謂”青春”なんてことをしていた僕らの帰る道は、いつも夕焼けが通りこして真っ暗だった。
実を言うと出会った当初から僕は影山の事が好きだった。でも、きっと愛しきれはしなかった。だって、将来世界で活躍するであろう影山に、僕なんかの存在は邪魔でしかない筈だ。だからこそ気持ちを伝える気なんてなくて、人知れず消えていく筈だったんだ。
なのにだ、アイツときたら僕の心を揺さぶってきた。