第1章 神威島の秋
「女子も懲りないなぁ」
「ラブレターなんて、くだらない。直接告白出来ない弱い人が書くものだよ」
そう言ってヒカルはアラタからラブレターを奪い、そして捨てた。
ヒカルは恋愛に興味を持たない。というか、人との付き合いが嫌いだ。
仲間との協力、友情否定をして以来、あまり人とは関わらず近づいてきたとしても、振り払ったのだ。
そんな感じで人との付き合いを避けてきたのだ。
「……モテモテって、大変なんだね」
ひらり、と舞い落ちるラブレターを誰かが拾った。
首を傾げると、其処には紫の制服を着た少年が少し困った顔をして立っていた。
青のような、緑のような短めの髪。森のようなミントグリーンの目はアラタを釘付けにした程綺麗に澄んだまま、変わっていない。
「ミクル!!」