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僕の視線の先に

第14章 新しい年明け





「…すみません。ハイ、治り次第…ハイ、大丈夫です。…ありがとうございます。…ハイ、失礼します。」




編集者の畠山さんに、事情を話して、
ネームの締め切りを伸ばしてもらった。



『まぁ、彼女を助けたんなら、しゃあないな、彼女は無事なんだろ。じゃ、いい。』


と、電話の先で、笑っていた。





芝居の方にも連絡をした。



ナナがいつも側にいるから、
口実作っては、電話をした。
下手に聞かれると、泣いてしまうから。







「ユウスケ。安静にしてないと!」





ヤバい、見つかった。



「…」



僕は、つい口癖が久しぶりに
出そうになった。




「なぁに、ユウスケ。」




いや、何でもない。




僕は、窓の外を眺めた。




年が明けても、
雪は降りやまない。
田舎のお正月は退屈だ。
ナナは、母さんと楽しそうに
お雑煮を作っている。









僕は、ナナに指輪を贈った。
僕の全財産ほぼ使ったよ。
ネックレスか迷ったんだ。
でも、
指輪が一番喜ぶだろう、って。


お店で選んでいた時、
女性スタッフの人が声を掛けてきた。


「恋人の方にプレゼントでしょうか?」


恋人…響きが何か照れくさい。


「…まぁ、恋人、っていうか、彼女です。」


「さようでございますか。指輪をお考えですか?ネックレスでしょうか?」



指輪…まだ高校生だし…
じゃあ、ネックレス?
でも、指輪が喜びそう。


遠距離だから、少しでも
さみしい思いをしないように、と
僕は、話した。


「それでしたら、やはり指輪の方が、女性の方は安心されますよ。」




高校生で、来年は大学生になる。
じゃあ、と、いくつかの指輪を
出してくれた。



その中でも、小さくて、シンプルな
デザインで、小さな青い石の入った
指輪を選んだ。



「ネックレスは、他人に見せるばかりで、自分では、鏡に映さないと見えません。指輪はなら、常に目に入りますからね。」



マニキュアとかすると、とっても
テンション上がるんですよ、って、
笑っていた。




サイズ?
勘だよ。勘。




「ぴったりで良かったよ。」




「ユウスケ~、お雑煮出来たよ♪また、アーンしてあげるね?」


ナナが嬉しそうだ…





右手、早く治って欲しい。





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