第12章 初雪
「うぅ~、さみぃな。」
ケイタが身体を小さくして
教室に入ってきた。
「今日、雪降るらしいぜ。」
今年は、いつもより初雪が遅い。
ま、その方がいいんだけど。
僕の家は、学校までも、駅までも遠い。
だから、学校帰りに、母さんから買い物を毎日頼まれる。
電車通勤の父さんも例外ではない。
「それはそうとさ…。」
ケイタが僕に顔を近づける。
「ナナミ、こっち戻ってくるんだってぇ?」
ニヤニヤしている。
「…何だよ、ケイタ。」
僕はケイタに、ナナミの事は
話していなかった。
改まって言う事もないし、
タイミングがわからなかった。
「ナナミと連絡取ってるんだろ?」
「…付き合っている…」
僕は顔を伏せてしまった。
「そうかー、それは良かった。ナナミの6年間の想いが報われたな。」
「え、ろ、6年!?」
「え、知らねぇの??」
知らなかった…
何だか、申し訳なく思ったよ。