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僕の視線の先に

第8章 夏の夜の現実





「男子達、夜店で食べ過ぎちゃダメだからね!」




散々釘を刺された。




「ムリだろー。花火まで持たないよな。」

「大丈夫だって。ちゃんと帰ってから食べれるしー。」




僕は、夜店から少し外れ、
花火が見える裏庭に来た。




小高い山の上にある
神社の裏庭から見下ろす
街並みの先の空まで、
すっかり暗くなっていた。





あれから3年か。
僕の気持ちは、あの頃のまま
カナの手を握りしめている。





「今日はみんな帰らないだろうし、長いなぁ…」




年に一回の同窓会だから、と、
この日は、親達から宿泊OKもらっている。


「親の目の届く場所なら、羽目外してもね。」



そんな親達だ。


山本の家は、部屋がたくさんあるから、
ちゃんと泊まれる部屋もある。
だから、軽い修学旅行だ。
去年から、宿泊OKになったが、
それをきっかけに
付き合い出した奴らもいるらしい。




去年は泊まらず帰ったが、
今年は泊まろうと思った。
カナと一緒に居たかった。
何を話していいか
わからないけど。
この前の事があるから
更に、わからない。


でも。



面倒な気持ちのままも…



「面倒だ。」







ガサ…



後ろから物音がした。
思わず振り向いた。





「あ、ユウスケ、ここにいた…」






「…カナ…」





僕は、自分の手を、
キュッと握りしめた。











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