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血の争い【黒子のバスケ】

第8章 思い出の欠片


鳳凰族との戦闘で、沢山の人達が亡くなった。勿論、結紀と昴輝が大切にしていた彰も亡くなった。そのせいなのか、吸血鬼族全体に活気が感じられなかった。

吸血鬼族の頭首が元気ないとこうやって周りに影響が及ぼすこともわかった。結紀自身でも、しっかりしなくては、とは思っていても頭の中で彰のあの笑顔が忘れられない。

赤司によって彰が斬られた瞬間のあの衝撃も忘れられなかった。心の整理がついてないのだ。そんな中、茫然と湖を眺める結紀。戦いの後、倒れた結紀の原因は、精神的と体力的に限界を迎えたためだった。

それで、吸血鬼族と鳥族はとりあえず休戦という形になっている。その為、結紀は自分のお気に入りである湖にいる。そこで、彰との日常を思い出す。

結紀達が小さい頃、この湖で服がびしょびしょになるまでよく遊んでいた。よくびしょ濡れになるのは結紀と昴輝だった。

「2人とも!こんなにびしょびしょになって…。かぜ、ひいちゃうよ!」

結紀と昴輝は、こんな風に彰に怒られいた。彰が2人の母親みたいな存在となっていた。びしょ濡れになれば、彰が来たりして…そんなありえないことを考え始めた結紀は、袖を捲らずに右腕を湖に入れる。

「風邪引くのだよ。」

結紀の後ろから声を掛ける。振り返ればそこには、呆れた表情を浮かべている緑間の姿。一瞬だけ、結紀の心の中で期待をしてしまった。彰が帰ってきたのではないかと。
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