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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第7章 ・お出かけします その1


「いけません、お母様もお祖母様もいらっしゃるのに。とにかく私の端末を返してくださいな。」
「聞くつもりはない。」
「兄様ともあろう方がそんなちっちゃい子みたいに。」

すると若利は言うに事欠いてこう言った。

「聞き分けの悪い娘には仕置きが必要だろう。」
「まあ何て事。」

文緒は思わず口元を両手で覆う。

「とりあえずこれは預かる。」
「兄様。」

更に抵抗しようと口を開く文緒に対して若利は実力行使に出た。あっという間に文緒の足が浮き、気づけば足どころか身体が浮く。

「兄様っ。」
「暴れるな。危険だ。」
「でしたら降ろしてくださいっ。」
「降ろせばお前は逃げるだろう。」
「仮にも若利兄様が私の端末を質に取るなんて姑息な事をなさって良いのですか。」
「姑息ではない。」

なおも抵抗する義妹を抱き上げたまま若利はその目を真っ直ぐ見つめた。

「お前を側に置く為に一番効果のある戦術を選んだ。」

あくまでも事実として語られるそれは文緒の抵抗する力をほんの少し止め、その隙に若利はこう言った。

「念の為言っておくが、風呂から上がって忘れたふりをしてこちらに来ないという真似は通じない。」

文緒はぎくりと体を震わせた。


結局文緒は携帯型映像機器を質にとられてその日の夜を若利と一緒の寝床で過ごす事となる。

「こうなったらお母様達に怒られる時はご一緒していただきますよ。」

栗鼠模様の寝間着姿でコロンと転がり文緒は微笑む。

「問題ない。お前との仲が深まる方が都合がいい様子だ。俺としても都合がいい。」
「兄様はバレーボールはお上手なのにそういうのはホントに不器用でらっしゃいますね。」
「だからお前といるのが具合がいい。やっとわかってきたが他の女子相手ではなかなか話が伝わらない。」
「それはお褒め頂いているのでしょうか。」
「事実だ。」
「ありがとうございます。」
「寝るぞ。」
「はい、兄様。」

愛が溢れているのは結構だが出かける前の段階でこれだ、当日までにどうなるかはまだわからない。


次章に続く
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