第13章 人の部屋に入る時は必ずノックをしましょう
銀時「はぁ…何だってんだよ…俺なんかまだお前の何処にもちゅーなんかした事ねぇのによ。アイツばっかり。」
『そ、そんな事言われても、私が頼んだわけじゃないし…』
だけど銀さんはため息をつくばかりで離してくれる素振りすら無い。
立ち止まって私達の事を見る人も出てきた。
そろそろ本当に恥ずかしい。これじゃあ晒し者だ。
そんな事を思いつつも心のどこかで、銀さんの嫉妬を嬉しく思う自分がいた。
きっと今私の顔は蛸に負けないくらい真っ赤だけど、それ以上に絶対ニヤけてる、そう思った。
そして、こういうのが恋愛感情というのだと、初めて実感した。
でもでも、やっぱり……
『銀さん、いい加減にしてください、外です、恥ずかしいです。』
銀時「いいんだよ別に。見せつけときゃ。」
『何もよくなーーーーい!!!』
こうしてしばらく多くの知らない人たちに痴態を見られ、そこにお登勢さんが店の中から出てきてそれに気づいた銀さんは逃げるように私の腕を引っ張って家に戻った。
階段を登るあいだも、きっと私の顔は気持ち悪いくらいにニヤニヤしてたと思う。
いつこの気持ちを伝えようかな。
ううん、しばらくは絶対恥ずかしくて言えない。
でもいつかきっと…あなたにこの気持ちを打ち明けられる日が、そんな勇気が私に訪れますように。