第18章 登場のシーン
二宮視点
潤くんが指を鳴らしたタイミングで歩き出す。
M「マイク貰う」
手を伸ばす潤くんが声を出すと、マイクを差し出すスタッフ。
スタッフ「どうぞ」
俺にもマイクを差し出すスタッフ。
「ん ども」
マイクを貰って階段の方に歩いて行く。
トントンと金属の音が響きながらメインステージの真ん中に出る。
M「登場!」
潤くんがメインステージに出て手を広げる。
(素なの?それとも…撮影用?)
「ニノ…」
密着のハンディカメラを持ったスタッフが俺の後ろにやって来た。
「なに?」
カメラに映らないように体を動かし、スタッフにだけ聞こえる声で返事をする。
「どうよ こんなにカメラに囲まれるの…」
ニカッと笑う。
(この人 川本賢一郎 “かわもっちゃん”
俺たちの初めての冠番組のデレクターだった人
今はプロデューサーになってるけど…)
「今日はカメラマンなんでしょ?
話しかけないで、仕事してください」
フンとソッポを向てやる。
M「犬養!タイム見せて」
犬養「はい」
直ぐにストップウォッチを持った犬養君が駆けつける。
川本「ふふ 邪険にすんなよ ちゃんと仕事もしてるよぉ」
ハンディカメラを覗きながら翔さんの方に動きだす。
(俺の次は 翔さんですかぁ…)
川本「乗り物だったら 怖くないんだ」
翔さんにインタビューを始めるかわもっちゃん。
(自分の声が入っていいんだぁ)
S「うん ヘリは結構 大丈夫なの」
ラフに返事をする翔さん。
川本「ふーん」
不思議そうな顔のかわもっちゃん。
S「何だろうね」
ふふっと笑って俺を見る翔さん。
(確かに、楽しそうだった…)
川本「強がりと違う?」
ニヤニヤ笑うかわもっちゃん。
S「強がってないよ!全然平気だった」
頬を膨らまして否定する翔さん。
「翔さん普通に窓からヘイポート覗いてましたよ」
かわもっちゃんに情報を渡す。
川本「あーそーなんだ」
納得するかわもっちゃん。
S「ちょっと、本人の申告よりニノの方を信じるの?」
サングラスを外して睨む翔さん。
川本「いや、だって、第三者の方が信憑性あるでしょ」
カメラを持ったままあたふたする かわもっちゃん。
(くくっ
心配しなくてもマジ怒りではないよ)