第1章 髪の長い男
「そうだったわ····。」
私の視界は、艶のある白い鏡の様な床と、みっともなく乱れた私の銀髪と、それが少し写った影で埋め尽くされた。
そして銀髪は小刻みに揺れていた。音が終わったその余韻に苦しみ、体が耐えられない様だ。私はガンガンと痛む頭を一気にガバッと上げた。
「痛っ····! っ、私といった事が、少し待てば音が終わるという事忘れ」ヒュルラッッッ!!!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」
目を見開いたまま、肉体がその場で石像のように見事(?)に1ミリメートルも動かなくなった。
睫毛をかすり、ナイフが料理室から高速に飛び出してきたのだ。
飛び出してきた所は、私の身長より高い穴になっていて······っ
「きゃっーーーーーーーー!」
私は冷や汗まみれの銀髪をガシッと掴み、ドレスの存在を忘れ、キイイイィッッーーと体を伏せた。 それとほぼ同時に
ドドドドドドドドドドドドッ!!! ヒャンッヒュルルルラッッ!!
「··············。」
私の体は、眼球さえ0.1ミリメートルも動かず停止した。
「そそ···そうだったわ······、ナイフが1本飛び出た後、少ししたら刃物系の料理器具が大量に飛び出す事忘れてたわ······。」
私の頭を守った手の近くの袖が、何か切られた跡がついていた。
「················································································」
私はネジが壊れかけた人形のように、首をギギ··と反対の壁に動かした。
そこは··············不法侵入者が城で暴走した以上に荒れていた。
壁に無数の穴が出来てそれは衝撃が衰えず広がり、多数の穴が1つの穴になる。私の身長何100個分重ねた高さか到底予想のつかない天井も、ギシッ···と怪しい音をたてた。
私は反対側を向き、静止した右足を前に出し、立ち上がった。
「洗顔しなくては。今日も一日、始まるわ。」
私は一度も後ろを振り向かず、裸足のまま洗顔室に行った。
ーーーーーあれは、狂音は少し待てば終わるいう合図だわ。