第1章 マスカレード from voice
*Satoshi side*
「海がキレイだね?」
翔くんに言ってみる。
言ってみるけど…、
俺は翔くんに
本気で呆れている。
いいんだよ?
誕生日には、俺を
ドライブに連れて行ってあげようとか
思ってくれるのは、嬉しいんだよ?
だけど。
ねえ、翔くん。
翔くん、ただでさえ私服
ダサいのに、
Tシャツ前後ろ逆に着てるから
よけいダサいよ?
笑いを堪えながら
翔くんを見つめる。
でも…、
うん。
やっぱりかっこいい。
私服がダサくたって、
Tシャツ、
前後ろ反対に着てたって、
翔くんは、
俺の…、
コイビト。
そんな事を考えながら、
翔くんを見つめる。