第5章 個人ランク戦
「えぇ!?俺と約束してたんですけど!」
すかさず約束していた駿くんが異議あり!と叫ぶ
「お前はおチビとやっただろ!俺に譲れ!」
「えーじゃあ次は俺とやってね?琥珀ちゃん!」
「拒否権を求める…って言いたいけど、風間さんトークを切られた罪は重いですよ、先輩!」
そう言って私はブースへと入っていった
一本勝負に設定すると、仮想フィールドへと移動する
「さて、米屋先輩!負けた方がジュース奢りですよ!」
「オーケー、いっちょやるか!」
米屋先輩が槍を首めがけて突き刺してくる
あれはスコーピオン、冷静に避けないと伸びてくる
素直に首回りをガードすると、両手にスコーピオンを出した
「おりゃ!」
影浦先輩のを見て学んだ、伸びるスコーピオンを使うと距離をとられる
「メテオラ!」
どかん!と米屋先輩と私の間にメテオラを放ち、土煙を出す
それに紛れて煙の中に入る
普通の人はこれで視界が断たれるが、私の強化視覚は少しの物体の動き・色合いなどを正確に見極める事ができる
すぐに見慣れた三輪隊のエンブレムを見つけそこめがけてスコーピオンを突き立てた
「サイドエフェクト使うとか卑怯じゃん!」
「手持ちのカードで戦えって風間さんが言ってましたから、ね!」
右腕を切り落とし、距離をとる
米屋先輩もA級だ、こんな事ではあきらめない
すぐに左手に槍を持ち替えて飛びかかってくる
だが片手に槍と両手にスコーピオンでは勝負は目に見えているだろう
グラスホッパーを米屋先輩の足元に敷くと、高く飛び上がった
「ジュース貰った!」
唐突に飛び上がった事により一瞬集中が途切れた先輩の首を切断すると、試合が終了した
「くっそーまた負けた!」
ガシャンッとオレンジジュースが自販機から出てきて、それを投げ渡してくる先輩にニヤリと笑いながらゴクゴク飲む
「ぷはーっおいしい!米屋先輩いつも目くらましに引っかかるんだもんなぁ」
「強化視覚とか卑怯じゃん!俺にも勝たせろこのやろーっ」
いつも個人戦が終わるとこうやってじゃれあう
この瞬間が個人的に楽しくて好きなのだ
こうして模擬戦をやり、一日を終えるのだった