第5章 個人ランク戦
あの訓練室での模擬戦から数日、2回目の新入隊員の訓練日がやってきた
あれから私はいつものように任務をしたり、風間さんに頼み込んで訓練相手になってもらったり、風間さんに土下座して宿題を見てもらったり…と、風間さんにべったりな日常を過ごしていた
学校が始まったこともあり、放課後にならないと本部に行けないのが少し寂しくも感じるが、提携校に通っている私にとって学校とは、ボーダーの延長線上にある居場所なのだ
私の学力では、進学校ではギリギリのレベルなので普通校に行きたかったのだが…親戚にいつ辞めるか分からない仕事をしている分、学力だけでも養っておけと言われてしまったのだ
ああ…私も歌歩ちゃんと同じ学校がよかった。普通校の方がボーダー隊員の知り合いも多いから絶対楽しかった
そんな事を考えながら、窓から見える本部をジーッと眺めていた
「ではこの問題を…奏多さん、解いてもらえるかい?」
怒ると怖い事で有名な、数学の先生に当てられビクリと肩が揺れる
私が本部を見ながらボーッとしていたのをちゃんと見ていたらしい
先程までの問題を解く時間は、勿論ボーッとしていて白紙のプリントに赤文字が目立っている状態だ
あまり、これをやると怒られるのだが仕方ない…と思いつつ目に力を込める
少し遠くの席にいる古寺…私は知っているぞ、君が数学が得意だと言う事を!!
勿論プリントにかかれた文字ははっきりと見え、その答えを読み上げる
「正解だ、座っていいぞ」
「はーい」
いかにも自分が解いてました、というように発表したので先生も少し驚いていたが座らせてくれた
満足げに座り、赤ペンで黒板に書かれた解説を必死に写す
…私も村上先輩くらいの記憶力があればなぁ
くだらない事を考えながら、赤ペンを滑らせていると授業の終わるチャイムが鳴った