第3章 冬休み
今更ではあるが、今は冬休みだ
迅さんと戦って数日経っているが、ギリギリ冬休み
…そう、ギリギリ冬休みなのだ
「助けてください!風間さん!!」
「自分でやれ」
「数学だけでも!風間さん数学できそうな顔してますし!!」
「どんな顔だ、自分でやることに意味がある」
本部の廊下の床を滑りながら、風間さんの足にへばりつく
大好きな風間さんにこんな事はしたくないのだが、私の人生に関わる事なのだ
「だって!冬休みの宿題やらないと進級危ういんです!!ボーダーにいられなくなっちゃいますぅぅぅ!!」
「それは自己責任だろう、終わらせればいい話だ」
「風間さぁぁぁぁん助けてくださいよぉぉぉぉ」
ずるずる…と私を引っ張ったまま廊下を歩く風間さんに、何事かと人が視線を寄越す
私の背中には大きなリュックが背負われており、その中には宿題がぎっしり詰まっていた
「手伝ってもらうなら同じ学校の奈良坂に教えてもらえばいいだろう、俺はごめんだ」
「だって奈良坂先輩に言ったら冷たい目で見られた後にため息ついてどっか行っちゃったんですよおお!後は風間さんしかいないんですぅぅ!!」
「まだ歌川と菊地原、それに古寺もいるだろ。俺は必要ない」
「風間さん待ってくださいぃぃぃぃぃぃ」
足についていた手を外され、スタスタと歩いて行ってしまう風間さんに手を伸ばして叫ぶと、後ろから明るい声が聞こえた
「まーだ宿題終わってないの?琥珀ちゃん」
「う、その声は駿くん…」
ゆっくりと引きずられて汚れた体を起こし、ホコリをはたくと駿くんはケラケラと笑った
「琥珀ちゃん夏休みも同じことやってなかった?それじゃあ風間さんも嫌がるよー」
「でも宿題終わらないんだもん、駿くんは終わった?」
「ふふん、俺を誰だと思ってんの?とっくに終わってるよ」
「うわーそれで終わってない私を馬鹿にしてきたんだー」
「そうじゃないって、よねやん先輩とか出水先輩も終わってないらしいから一緒にやったら?って提案しにきたんだよ」
なるほど、確かに二人が終わっているわけがない