第4章 楽園
「ほら、ついた!」
そこは、とある動物園。
駐車場に車を止めると、
「動物園一通り見たら
ここ戻ってくるから、
そしたらお弁当だね」
「俺、ちゃんと作ってきたよ!」
得意料理は麦茶の翔ちゃんに代わり
昨日のうちに気合いを入れて
お弁当を仕込んでおいた。
コンビニ弁当とかでもいいけど、
やっぱ手作りの方がおいしく感じる。
まあ、気合い入れすぎて
男2人でも食べきれないくらい
作りすぎちゃったことは秘密。
いろんな動物を見てまわって、
俺と翔ちゃんと動物で
3ショット自撮りしたり。
ふれあいコーナーでは
俺だけ動物に逃げられて。
翔ちゃんの膝には
大人しく乗っててくれるモルモットが
俺だと一目散に逃げてくんだよね。
それを見てただ笑ってる翔ちゃん。
一通りまわって駐車場に戻ってきて、
それからお弁当を持って
広場にレジャーシートを敷いて
お弁当にする。
もうかれこれ10年以上の付き合いになる
俺と翔ちゃん。
思い出話に花を咲かせていたら、
多すぎると思ってたお弁当も
あっという間に平らげて。
「ふう、おいしかった!」
「料理の腕は雅紀に負けるわ…」
「なに、料理以外は
翔ちゃんのが勝ってるって
言いたいの?」
「まあ実質そうじゃね?(笑)」