第1章 MUSIC
*Kazunari side*
さっきカエデが
部屋に来て、最初は
プリントとか渡してもらったけど。
カエデの口からその後
突然出てきた言葉は、
「ねえ、もう別れない?」
…はい?
理由は、
・最近私に構ってくれない
・誘ってもデートの一つにも
付き合ってくれない
・どうせ私じゃない人が
好きなんでしょ?
などと、いろいろ並べられ…。
口ゲンカにはなったけど、
なんとか和解はした。
結論は、“別れる”。
「その人の所に、
行ってあげなね?」
そう言い残して、
カエデは帰って行った。
…うん。
カエデがそう言ったなら、
雅紀の所に行こう。
きっと分かってくれる。
雅紀なら。
「和?入るよー。」
姉ちゃんの声。
入ってきた姉ちゃんの手には、
麦茶のコップ。
無言で手渡されると、
「明日は行けるように、寝てな?」
…姉ちゃん、きっと
全部分かってるんだな。
何があったのか、
何がどうなってるのか。
…あの人に
隠し事が出来るようになる日は、
いつになったら来るんだろ。
そう思わされるくらい、
なんでもお見通しな姉ちゃんだから。