第1章 MUSIC
*Masaki side*
俺は曲を聞いて、
良い意味でも悪い意味でも
衝撃を受けた。
確かに良い曲だと思う。
思うけど…。
カエデ──彼女さんのこと、
考えて作ったのかな…。
これ、よく歌詞見れば
完全なるラブソングじゃん。
夢、砕けた…。
でも、俺は
和と結ばれることは
望んでない。
和がカエデと一緒で
幸せならそれで良い。
それで良い、んだけど…。
諦めがつかないのも事実。
──考えても、
答えは出ない…。
*Kazunari side*
雅紀、聞いてくれたかな?
俺、あの曲、
雅紀のことを思って
作ってたんだよね。
“伝わるように
ありったけ想い載せて”
って。
だから、バンドのメンバーよりも先に、
一番最初に雅紀に聞かせた。
──でも、俺にはカエデもいる。
カエデより雅紀が好きか?
って言われれば、
カエデには申し訳ないけど
雅紀のが好きだと思う。
でも、雅紀のが好きだからといって
別れられるほどの相手ではない。
カエデはカエデで、
俺にとって大事、だし…。
頭までお湯に浸かって、
じっくり考えてみる。