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Bitter Sweet【気象系BL小説】

第4章 S×O【紡ぐ】


櫻井side



八時七分。






いつもこの時間になると
乗る人がいる。


名前も知らない。

声も知らない。


だけど、気になる。



…貴方は、
とても綺麗だ。


手を伸ばせば、
なんとか届くこの距離。

だけど、手なんか伸ばせない。


お互い、知らない同士なんだから。


きっと貴方は、びっくりして
俺の顔をまじまじと見つめるだろう。


「…櫻井?」

「あ、ごめん。
なんだっけ?」

「はぁーっ…。
お前、最近そういうの多いよな。

勉強疲れじゃねえの?
…それとも、恋でもしたか?」



にやにやとしている
俺の隣にいるコイツが
幼馴染みの二宮。

こう見えて案外頭がいい。



「んなわけないだろ。
そんなことしてる暇ねえよ。」

「ほー、真面目だねえ。」

「お前が不真面目なんだよ。」

「はいー?なんか言いましたかぁ?」

「うぜぇ…」



二宮は早く降りないとって
俺の服の袖を引っ張る。


「服伸びるから!」



二宮の腕を振り払って
俺は貴方を探す。



…ほら、いた。

少し猫背気味に
改札を通り抜けていく。

のほほんとした雰囲気。


「…櫻井~?」

「んだよ。」

「あらぁ、青い春ぅ?」


…。


俺は二宮を無視して
改札を通り抜けた。


「おっおい!
無視するなよ!!」

「うっせえよ。黙ってろ。」

「バカ…」



俺の背中をバシバシ叩いて
頬を膨らませて先を歩く。



…あ、いた。

今日はこっちなんだ。




――時々、貴方は俺と同じとこから
出ていって、

狭い路地裏に入っていく。


…近道なのかな。



貴方の背中を見ながら、
今日も妄想ばかりする。
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