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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第17章 初恋がロリコン男である件について【バク】



「君の言う通りだ…僕もミアに甘えていた節があった。肝に銘じよう」

「いえ、本当にこれは、その…」

「ああ。ミアには言わない」

「! ありがとうございます」



やはり気にしていたのはそこだったか。
それだけ上司を尊敬しているのなら、気遣いも人一倍だろう。
特にハオのような性格なら。

長居をして迷惑を掛けるのも忍びない、とハオはその後足早に部屋を去っていった。
そういう気遣いは、ジジ達にも見習って欲しいものだな…。



「ミアが選んだだけはあるな。上司思いの部下だ」

「ぅぅ…私めにはバク様も良き上司で御座います故…」

「ゥ、ウォンっ?いつから其処に…っ」

「最初からで御座います…!」



ハオが去ったドアの隙間から、啜り泣くような声。
見れば大きな体を縮ませ震えているウォンがいた。
最初からならなんでサッサと入って来んのだ、出歯亀などするなっ



「そうかぁ?あたしにはそれだけには見えなかったけど」

「まだからかうネタを探しているのか?いい加減…」

「違ぇーよ。ただ尊敬してるだけに聞こえたのか?バクにはあれが」

「?」



現にそうだろう。
首を傾げれば、フォーは呆れた顔でベッドへ…おい病人のベッドに乗るな。



「ありゃミアに上司以上の想いがあると踏んだな」

「はぁ?何を言って…馬鹿馬鹿しい。あの男の誠実な目がわからなかったのか」

「そう言うバクの目は本当、節穴だよな…ミアが苦労するわけだ」

「なんだと。おいウォン、お前からも何か言ってやれ」

「はぁ…そうですね。ミア殿はおモテになる女性で御座いますから…」

「は?」



いや、そういうことを言っているんじゃ…というかモテるのかあいつは。
初耳だぞそんなこと。



「仕事の上司として、ということか?それなら僕にもわか」

「いえ。異性としてです」

「る…?」



思わず語尾が引っくり返った。

なん、だと?

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