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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第16章 ◆さよならの前に(神田/ルパン三世)



「部屋に異常は無し、と…隠し通路は此処にはねぇみてぇだな」

「幽霊とやらの痕跡もねぇな。本当にいたのかよ」

「だからいたんだってば…」

「大人しく霊が元の場所で待つ訳ねぇだろうよ…」



花嫁の霊が出たと思わしき部屋を調査してみるも、それらしい痕跡は何も見当たらず。
積極的に調べていたルパンと神田を見守りつつ、雪と次元は渋い表情を浮かべていた。



「じゃあ此処じゃねぇ他の何処かだな。通路も幽霊とやらも」

「虱潰しに捜すしかねぇか」


「ルパン、凄い生き生きしてるね。宝探しする時」

「あの神田って奴もな。幽霊なんざ信じるタイプに見えねぇのに」

「それが私達の仕事だからね」

「難儀な仕事だな…全く」



先を歩く相方の背を見ながら、雪もまた壁伝いに沿って手を這わす。
怪しい痕跡がないか調べているのだろう、怖がりながらもきちんと仕事をこなす雪に感心しながら、次元は同情の意味も込めて投げかけた。



「それなら次元だって。でも私は仕事だから仕方なく務めてるけど、次元の宝探しは強制じゃないでしょ?」

「まァな。だから基本はルパンの話に乗った時にしか泥棒の仕事はしねぇ」

「じゃあ他にはどんな仕事してるの?」

「色々だ。大概は腕を買われて用心棒みてぇなことをすることが多いがな」

「銃の?そういえば私まだ一度も見たことないなぁ…結構な腕前だって、有名なのは知ってるけど」

「そうかい、そいつァ光栄なこった」

「……それより次元」

「ん?」

「さっきから飲み過ぎじゃない?お酒」



壁に仕掛けや怪しいものはないか、探していた手を止めて振り返る。
雪のその目は、半分程に減ったワインボトルに向いていた。
ボトルから直接ワインを摂取している次元の足元は、若干のふらつきが見られる。

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