第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「だから男と女の垣根なんて気にしなくていいよ。雪も体の変化に気持ちがそっちにいってるだけだと思うから。いつも通りの神田でいれば、きっと…」
「ホラ!アタシが食べさせてあげる。アーン♡」
「いい!それくらい自分で食う!」
「んもぅ何よ、恥ずかしがり屋ねぇ♡」
「きっと…うん、きっと」
外部で煩いリーバーとボネールの会話が、内心は気になって仕方ないんだろう。
段々と尻窄みしていく椎名の声と同様に、その肩が下がっていく。
…チッ、仕方ねぇな。
「んなこと言われなくてもわかってる。いいからお前は解毒剤を早く作れよ」
「あ、うん」
「じゃあアタシがバターを塗っ」
「面貸せテメェは」
「んぐっ?な、何よ」
「か、神田?」
踵を返してラボの扉へと向かう。
その途中で、煩いオカマ野郎の背中の服を鷲掴んだ。
「テメェがいるとあいつの解毒剤作りが進まねぇだろ。来い」
「ちょっと、イヤよアタシはシェリーと…!ま、待ちなさいよぉお!」
有無言わさず足早に巨体を引き摺っていく。
ぽかんと間抜け面で見送るリーバーに、少しは気付けと忠告する代わりに視線だけ向けて、さっさとその場から退場した。
あんなお人好し男が相手じゃ、椎名も苦労するな。