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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第7章 想いの交差


翌日の早朝、俺と潤は区役所の前に居た。


潤のポケットには記入を済ませた婚姻届。


パニックを避ける為に帽子とサングラス。
そして朝早いこの時間にやって来た。


手を繋いで中に入ると、予想通り職員の人達以外はまだ誰も居なかった。


潤「すみません…」


職員「はい。おはようございます」


窓口の女性が笑顔でこちらを見る。


潤「これ…お願いします」


職員「はい。確認しますので少々お待ち下さい」


丁寧に婚姻届を受け取った。


「………」


潤「………」


緊張で手が汗ばんでるのが分かる。
潤の手にも力が入った。


職員「松本潤さんと櫻井翔さんですね。え、まつ…」


驚いた顔をして俺達を見上げる女性。
声を掛けられるかと一瞬構えてしまった。


職員「………はい。大丈夫です。お預かり致します。おめでとうございます」


にこやかに頷かれた。


潤「どうも」


立ち去ろうとすると、


職員「いつも拝見してます。応援してますので頑張って下さいね」


回りに聞こえないボリュームで声を掛けられた。


「あ…ありがとうございます」


頭を下げると女性も何事も無かったかの様に業務的な挨拶をした。


潤「良かったいい人で」


「うん」


俺達は足早に区役所を後にした。


通りに誰も居ないのを確認すると、潤が立ち止まった。


「潤…?」


すると腕を引き寄せられ、あっという間に潤の腕の中に収まる。


潤「やっと…やっと結婚出来た…!翔…!」


「………潤…」


グスッと鼻をすする音が聞こえる。


「潤…泣いてるの?」


潤「だって…ずっと…ずっと願ってた事だから…」


潤に初めてプロポーズされたのが…もう5年前…?
あの時は…あっさり却下して…一度は別れたけど…潤は俺と結婚してくれた。こんな俺を…捨てずに。


「潤…ありがと…」


潤「俺こそありがとう…愛してるよ」


「誰かに見られるよ」


潤「今日位良いでしょ。結婚記念日だよ。撮られてもいい」


「もう…」


そう言いながら俺も、潤の背中に手を回した。
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