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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第21章 wound


ー和sideー


「………翔さん…」


俺は玄関で…驚いたまま立ちすくんでしまった。


智に言われて…今は潤くんに任せようと納得した。
翔さんには今は会わないでおこうって…決めた。
でもその翔さんが…目の前に居る。


「翔さん…翔さん!」


俺は翔さんに駆け寄り、ぎゅっと抱き締めた。


翔「………にの…」


でもその容姿は…事件の前とはガラリと変わっていて…。


やつれた身体…ふわふわの髪の毛はどこかぱさついていて…。
あの時の潤くんと…似ていた。


翔「………心配かけて…ごめんね」


「何言ってんですか。とりあえず上がって?」


松葉杖の翔さんを支えながら俺はリビングへと向かった。


翔「智くんは?」


「今はレコーディングですよ」


翔「にのは?」


「私は早目に録り終えたんで今日はオフなんです。いつもの休み」


テーブルに置いていたやりかけのゲーム機を取り、翔さんにヒラヒラと見せると、力無く微笑んだ。





翔「ごめんね…。どうしても…にのに会いたくなって…。にのしか…相談出来なくて」


コーヒーをテーブルに置くと翔さんがぽつりと話した。


「そんな…。気にしないで下さい。俺も…翔さんに会いたかったんですから」


翔「………ほんと?」


「はい。でも…今は会える状態か分からなかったし…まずは潤くんに任せようって。でも…会いたかった」


翔「………」


「………その…怪我はまだ…」


翔「………」


黙って頷く。
その横顔も所々痣があった。
きっと…何度も殴られたんだろう。


翔「身体中がまだ痛くて…足も…」


「そっか…辛いね…」


そっと…翔さんの手を握る。
一瞬ビクッと強張ったけど…握り返してくれた。


翔「にの…」


「ん?」


翔「俺…もう駄目かも…」


「え…?」


翔「昨日ね…寝る時潤が後から入って来て…そしたら…重なったんだ…」


手を握る翔さんの腕が…少しずつ震え出した。


翔「あの人と…重なって…そしたら…もう…俺達の寝室があの部屋に見えて…覚えてるのは…何度も潤を呼んだ事…気付いたら朝で…」


「翔さん…」


翔「潤何もしてないのに…潤の事…傷付けた…俺…俺どうしたら…」


「翔さん…!」


肩を震わせながら泣く翔さんを…庇う様に俺は強くその腕で抱き締めた。
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