第8章 ♠ウエディングベルが・・・
結局俺達はなんの予定もないまま、俺の部屋でボーッとした休日を過ごしている。
でも、それはそれで悪くはないのかもしれない。
腹が減ったら二人で料理を造り、大して面白くもないお笑い番組を見ながら、食卓を囲む。
ごく当たり前の休日。
近所のスーパーで買い物を済ませ帰宅すると、智くんはお決まりの場所に座り、テレビのリモコンを操作する。
どうやら智くんのお気に入りは、リビングのこたつのようだ。
俺は買い物袋の中から、買ったばかりのミカンを取りだし、テーブルの上に置いた。
「こたつにはミカンが必要なの」
と、智くんが言い張るから渋々買わされたんだ。
「こたつに入って、ミカン食べるって、日本人だなぁ、って思わない?」
言いながら、一粒口に放り込む智くん。
「う~ん、うふふ」
あ、その顔好き。
すっごく幸せそうな顔。
見てるこっちまで心が暖かくなる。
テレビでは、年末の紅白での俺達の歌唱シーンが流れていた。