第1章 ♦爪先が…
雅紀side
さっきからニノの機嫌が悪い。
仏頂面でTVの画面のキャラクターを、コントローラーで器用に動かしてる。
「ねぇ、ニノちゃん」
声をかけても無反応…
「ニノちゃんたらぁ」
そりゃさ、TVゲームなんだから?、TV画面から目を離せないのは当たり前。
でもさ、返事ぐらいしてくれたっていいのに…
だって、いつもはゲームに集中してたって、返事だけはちゃんとしてくれるじゃん?
ビールを一気に流し込んだ。
「も一本貰うね」
こたつから出ると、なんだか足がスーッとした。
こたつって、一度入ってしまうと、もう出るのが嫌になるってよく言うけど、それ本トだわ…
何度も立つの面倒だから、って冷蔵庫から缶ビール
を二本取り出す。
それをテーブルに置くと、あの温もりを求めて足をこたつの中に伸ばした。
あったか~い♪
ん?
爪先が何かに触れた。
足の指先で確認する。
あ、ニノの膝かぁ!
何度か爪先でツンツンしてみるけど…反応無し。
そっちがその気なら…
突然悪戯心が湧いてきた。