第3章 〜一味との時間〜
お酒が得意じゃない、と言うと誤解を招くかもしれない。
正しく言うならば、飲んだことがない。
なので酒が得意じゃないとか、そんな次元じゃなくて自分が酒に強いのか弱いのか、
それもわからないのである。
いや、前にたった一度だけカクテルを飲んだことがあった。
アルコールが入ってんだか入ってないんだかわかんないくらい度数の弱いやつだったが。
ナ「大丈夫だってぇ、せっかくみんなで飲める機会なんだし。ね!」
ナミは既にほろ酔いのようで頬が少し上気している。
他のみんなもお酒が入っているようだ。
ゾロさんに至っては爆睡中である。
エ「じ、じゃあ少しだけ…」
両手でジョッキを持ち目と鼻の先に持ってくる。
まず、ビール自体おいしいのかわからないため少し抵抗がある。
エ(アルコールの臭い強い…)
ル「おっ!エミリも飲むのか?いけいけーー!!」
ルフィが頬を上気させながら囃し立てる。
意を決してジョッキの縁に口を付け、ぐいっと煽る。
エ「!!以外とおいしい…!!」
ナ「でしょ〜〜?ほらほら、どんどんいって」
しばらくすると体がポカポカしてきて頭がポーっとしてくる。
テンションが上がってどんどん楽しくなる。
エ(なんかいいなぁ〜、このふわふわした感じ。こんな時間がずっと続けばいーのに)
だが次の瞬間、全身のうぶ毛が逆立つような寒気を感じた。
エ(何だろう、今の?)
そう、この時エミリはまだ知らなかった。
普段酒を飲み慣れてない人が調子に乗って飲み過ぎるとどうなるのかを。