第14章 Dear my doctor
櫻井side
相葉くんが話すことは俺が全く考えてなかったことで…。
そんな見方があるなんて思ってもみなかった。
まるではじめて聞く言語のような相葉くんの言葉。
俺が守る?あの枠を?
コペルニクス的発想の転換。
なのに…すっと、自分の中に落ちる。
ものすごく難解な数学の問題の解答が分かったときのような感覚に似てた。
そして気がつく。
俺はただ、子どもみたいに5人じゃなくなることに拗ね、一人だけ選ばれたことに罪悪感という名の優越感を持ってただけなんじゃないかと…。
安いドラマの悲劇のヒロインのように優越感を自己憐憫に置き換えただけ…。
相葉くんの言葉は自分の考えの小ささと浅はかさと愚かさを…俺に教える。
もちろん、相葉くん本人はそんなつもりが毛頭無いのは知ってる。
相葉くんは一貫して俺を責めない。
ただ優しさで包む。
だけど…。
だから…。
「俺が…守るの?」
A:「そうだよ。
4月以降もあの枠は嵐の枠なんだよ?
5人で出てたのが翔ちゃんだけになるだけ。
だって嵐の櫻井翔でしょ?
嵐の櫻井翔の番組なら嵐の番組じゃん?
翔ちゃんの冠だけどそれは
嵐の冠なんじゃない?
よくも悪くも俺たちには【嵐の】って付く。
でもそれでいいじゃん?
4月以降もかわらない。
翔ちゃん一人で闘う訳じゃないじゃん?
俺たちいつも後ろで支えるよ?
画面に映ってるか否かなんて
大した問題じゃないよ?
で、翔ちゃんが俺たちを呼んでくれれば
いいじゃん?
で、またいつか嵐5人で出れれば
最高じゃない?」