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しあわせはここにある【気象系BL小説】

第12章 tie me up… tie you down…


大野side


どれくらい経ったか?
ようやく落ち着く気持ち。

身動ぎし密着させていた身体に
すきまをつくる。

翔ちゃんの顔に手を伸ばす。
暖かな頬に触れるおいらの冷えた指。

何か言いたいけど言葉が出てこない。

ぐちゃぐちゃな気持ちを誤魔化すように
キスをする。

唇を離し…
翔ちゃんの耳もとにあてて囁く。


「翔ちゃん…あれ…媚薬じゃないでしょ?」


びくっと顔を上げる翔ちゃん。

そんな様子を見ない振りして
ベッドを降りる。

慌てておいらの手をつかもうとする
翔ちゃんの手はむなしく空を掴む。


「ちょっとまってて…」


そう言って部屋を出て…
翔ちゃんの分のバスローブを手にして
部屋に戻った。

薄明かりの中、
翔ちゃんの表情を伺うことは出来ない。

ベッドに戻り、俯いてた翔ちゃんの肩に
バスローブを羽織らす。

ベッドサイドの翔ちゃんが置いたグラスに
シャンパンを注ぎ
グラスを翔ちゃんに向ける。


「翔ちゃん?」


まだ俯く翔ちゃんの横に座り
グラスを渡そうとしたけど…受け取らない。


S:「なんで…わかったの?」


「言わなきゃ…ダメ?」


S:「だめじゃ…ないけど…」


歯切れの悪い翔ちゃんに内心、苦笑しつつ
全部がそうだとは思わないけどと
前置きをして種明かしをした。



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