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しあわせはここにある【気象系BL小説】

第12章 tie me up… tie you down…


大野side


口のなかに吐き出された
翔ちゃんの熱を飲み込む。

特に何を考えていたわけではなく、
ごく自然に飲み込んでいた。

驚いたような翔ちゃんの顔と
怒ったような口調になんかものすごく
悪いことをした気分になる。

怒ったの?って聞いたおいらに
翔ちゃんは怒ってないって言うけど…。

髪の毛をぐちゃぐちゃに掻きむしる姿に
おいらの心もかき乱される。

そんな翔ちゃんの姿を見たくなくて
翔ちゃんの動きを止めるように抱きしめた。

翔ちゃんの手にそっと手を重ねる。

もうわからなくなってた。
何が正しくて何が間違っているのか。

踏み出そうとした一歩は間違ってた?
それともその方法が間違ってた?
それとも……、それとも…?

浮かんでは消え、形を成さない思考。

わからなくなって…。

涙とごめんという言葉だけがこぼれる。

翔ちゃんの手がおいらの髪に触れる。
優しいその感触に酔いしれる。

次第に落ち着く心。

そう、翔ちゃんはいつもこうやって
おいらを優しく包み込んでくれる。
少し先を歩き、こちらに手をさしのべて
待っていてくれる。

そして…それに…甘えてしまうんだ。

でも…。

言わなくちゃ。

ちゃんと…自分の言葉で…
おいらの思いを翔ちゃんに…。



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